蒸し暑い日が続いておりますが、いかがお過ごしでしょうか。不安定な空模様が続く中で、体調を崩されないようご自愛ください。
今回は、「男性の長期育児休業がキャリアに与える影響」について、私なりに掘り下げてみたいと思います。近年、ニュースでも頻繁に取り上げられるようになりましたが、男性の育児休業取得は確実に増加傾向にありますよね。以前では考えられなかったことですが、素晴らしいことだと感じています。
しかし、そのキャリアへの影響については、ポジティブな側面もあれば、正直なところ、少し気になるネガティブな側面も指摘されています。
男性育休がもたらすポジティブな影響
まず、男性が長期で育児休業を取得することのポジティブな側面から見ていきましょう。
育児スキルの向上と視野の拡大
長期で育児に専念するという経験は、想像以上に大きな変化をもたらします。オムツ交換やミルク作りはもちろんのこと、子どもの些細な表情の変化を読み取ったり、時には夜泣きに付き合ったりと、家事や育児のスキルは飛躍的に向上します。これは、単に「育児ができるようになった」という個人的な喜びだけでなく、ビジネスにおいても非常に役立つスキルとなります。
例えば、段取り力は格段に上がります。限られた時間の中で効率的に家事や育児をこなすには、綿密な計画と臨機応変な対応が不可欠です。また、子どもの予期せぬ行動に対応する中で、問題解決能力も磨かれます。さらに、異なる価値観を持つ子どもや配偶者と深く関わることで、多様な人材への理解が深まるなど、ビジネスシーンで求められる多角的な視点を養うことができるでしょう。
ワークライフバランスへの意識向上
育児休業を経験することで、仕事と育児の両立がいかに大変で、そしていかに重要であるかを肌で感じることができます。これは、復帰後の働き方を考える上で非常に貴重な経験となります。以前と同じようにがむしゃらに働くのではなく、より効率的で柔軟な働き方を模索するきっかけになるのです。リモートワークの活用や時短勤務、コアタイムフレックスなど、様々な働き方を具体的に考えるようになるはずです。これは、自身のキャリアを長期的に見据える上で、非常に大切な視点となります。
家族関係の深化
子どもや配偶者と濃密な時間を過ごすことは、何物にも代えがたい経験です。特に、産後の大変な時期に育児に積極的に参加することで、配偶者の心身の回復を助け、夫婦間の協力関係をより強固なものにすることができます。育児を夫婦で分担することで、お互いの負担を軽減し、精神的な支えとなるでしょう。結果として、家族の絆が深まり、より一層充実した家庭生活を送ることができるはずです。
企業のエンゲージメント向上
育児休業取得を認めてくれた会社や、休業中に業務をカバーしてくれた同僚に対しては、自然と感謝の気持ちが芽生えるものです。この感謝の気持ちが、復帰後の仕事へのモチベーションとなり、組織への貢献意欲を高めることにつながります。
最近では、企業側も男性育休を単なる「休業」ではなく、「人材育成の機会」と捉える動きが広がっています。育休中のインプットや、新しい視点の獲得が、キャリアアップにつながる可能性も出てきています。例えば、育休中にオンライン学習でスキルアップを図ったり、復帰後に育児経験を活かしたプロジェクトに参画したりといったケースも増えてきています。
懸念されるネガティブな影響
一方で、男性の長期育児休業には、いくつかの懸念点も存在します。
キャリアの中断やポジションへの影響
やはり多くの男性が不安に感じるのが、長期で職場を離れることによるキャリアの中断や、復帰後のポジションへの影響ではないでしょうか。以前と同じポジションに戻れるのか、昇進に影響しないかといった不安は、実際に耳にすることも多いです。
特に、キャリアの形成において重要な時期に差し掛かる30代から40代前半の男性にとっては、昇進・昇格に影響が出ることを懸念し、長期育休をためらうケースも少なくありません。実際に、育休前に担当していた店舗に新しい人が配属され、復帰後に異なる職種を提案されたという話も聞かれます。こうした事例があるからこそ、男性育休の取得をためらう気持ちも理解できます。
私自身も非常に悩みました。でもそうそう経験することがないことなので思い切って取得することにしました。
収入の減少
育児休業給付金があるとはいえ、休業中の収入が減少することは避けられません。給付金は休業開始時賃金の約67%(育児休業開始から6ヶ月間)であり、それ以降は50%に減少します。住宅ローンや教育費など、出費がかさむ時期に収入が減ることは、経済的な不安に直結します。この経済的な側面が、男性育休取得のハードルとなっているケースも少なくないでしょう。
今年度から最初の約1か月は実質100%となっています。
職場復帰後のギャップと精神的な不調
育休中は育児に専念できたとしても、復帰後は仕事と育児、家事のルーティンを同時にこなす必要があります。この大きなギャップに戸惑う男性は少なくありません。特に、男性の場合、育休復帰後のロールモデルや情報がまだ十分ではないため、孤立感を感じたり、精神的な不調を訴えたりするケースも報告されています。
ある調査によると、男性の育休経験者の約6割が精神的な不調を実感しているという結果も出ています。これは、育児と仕事の両立の難しさだけでなく、周囲の理解不足や、復帰後のサポート体制の不足なども影響しているのかもしれません。
周囲への配慮と業務調整の難しさ
育休取得者本人も、同僚に迷惑をかけてしまうのではないかという懸念を抱くことがありますし、職場側も、長期の休業となると業務調整の難しさを感じるものです。特に、属人性の高い業務を担当している場合や、プロジェクトの進行中に休業する場合などは、担当者の変更や業務の引き継ぎなど、社内外の関係者への丁寧なアナウンスが必要となり、それが一時的な混乱を招く可能性も指摘されています。
今後の展望と課題
男性の長期育児休業をより円滑にし、キャリアへのポジティブな影響を最大化するためには、社会全体での取り組みが不可欠です。
社内風土の醸成
まず何よりも重要なのは、企業全体で男性育休取得を推奨し、取得しやすい雰囲気を作ることです。上司や同僚の理解と協力体制は、取得者の心理的なハードルを大きく下げることにつながります。経営層からの積極的なメッセージ発信や、管理職向けの研修なども有効でしょう。
職場復帰支援の充実
育休中の会社からの情報提供や、復帰後の相談環境、そしてキャリアパスに関する具体的な話し合いの機会を設けるなど、企業によるきめ細やかなサポートが求められます。復帰後のオンボーディングプログラムや、育児と仕事の両立支援に関する情報提供なども有効です。
業務の標準化と属人化の解消
育休取得者がいなくても業務が滞らないよう、業務の可視化や標準化を進めることが非常に有効です。マニュアルの整備や、複数のメンバーが同じ業務をこなせるような体制づくりは、育休取得に限らず、企業の生産性向上にもつながります。
男性育休に関する情報共有とロールモデルの創出
実際に育休を取得した男性の経験談や、仕事と育児を両立している男性のロールモデルを積極的に共有することは、これから育休取得を考えている男性にとって大きな励みになります。不安の軽減や、具体的なイメージの形成につながるでしょう。社内報や社内イベントでの事例紹介なども、非常に効果的だと考えられます。
男性の長期育児休業は、個人のキャリアだけでなく、企業全体の生産性向上や多様な働き方の実現にも寄与する可能性を秘めています。これは、持続可能な社会を築く上でも非常に重要なテーマですよね。社会全体で、男性が長期育休を「キャリアの一部」として捉えられるような環境を整備していくことが、今、私たちに求められているのだと改めて感じます。
引き続きブログ記載頑張りますのでよろしくお願いいたします。
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